HSPとは
今回は主に、みさきじゅりさんの『ささいなことに動揺してしまう 敏感すぎる人の「仕事の不安」がなくなる本』(2018年、秀和システム)を参考にHSPという気質について解説していきたいと思います。
HSPとは「Highly Sensitive Person」の略であり、「非常に繊細な人」「すごく感受性の高い人」といった意味があります。
感覚から得た情報を処理する神経が敏感であるため、そうなってしまうそうです。
また、そのように非常に繊細であり、感受性が敏感であるならば、なるべくストレスを溜めないように、HSPの方は引っ込み思案になってしまいがちであると予想することもできますが、HSPの中には「刺激追求型HSP (High Sensation Seeking)」、略してHSSの方もいるそうです。
感受性が敏感で消耗しやすいにもかかわらず、活発であり、刺激的なことが好きな人という意味合いですね。
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HSPの特色
この章では、HSPとは「普通の人よりも感受性が敏感な人」という意味合いで、HSPの特色について書いていきたいと思います。
HSPという言葉は、エイレン・アーロン博士の著書『ささいなことにもすぐ「動揺」してしまうあなたへ。』(冨田香里訳、講談社刊)で知られるようになりました。
アーロン博士は自らがHSPであるということに気付き、独自にHSPの研究を始めたそうです。
そしてHSPの人口ですが、これは国籍や性別に関係なく、人口の15~20%はHSPということになります。大体5人に1人はHSPということになります。
そしてHSPの約30%は外交的な性格のもち主のようです。
HSPの人は、敏感な感受性をもっているために、引っ込み思案や内気といった、ユングのいうところの「内向的」な性格であるというイメージをもちやすそうに思えますが、必ずしも全ての人が内向的というわけではないそうです。
そして、HSPとは病気でも障害でもなく、気質であるそうです。
気質とは生まれもってのものであり、成長による変化はしないものです。
そしてHSPもその変化しない気質である以上、治るものではないと考えられます。
みさきじゅりさんの本より、気質と性格の違いを表にすると、以下のようになります。
時期 | 成長での変化 | 状況での使い分け | |
気質 | 生まれ持ってのもの | しない | できない |
性格 | 生まれつきと経験や環境による | する | できる |
したがって、HSPとは治療しようとするものではなく、折り合いをつけるものであるということができます。
難しいことかもしれませんが、もしHSPであったのならば、自分がその気質であるということを受け入れて、では、どういった生き方をしていけばよいかを模索していく必要があります。
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HSPの4つの特徴(DOES)
ここから、HSPの特徴について掘り下げて説明していきたいと思います。
HSPには4つの特徴があります。それがDOESと呼ばれているものです。
表にするとこのようになります。
頭文字 | 英語 | 意味 |
D | Depth of processing | 処理の深さ |
O | Overarousal | 感情の高ぶりやすさ |
E | Emotional intensity | 強い感情反応 |
S | Sensory sensitivity | 感度のするどさ |
D (Depth of processing)
HSPの人にはDepth of processing、つまり処理の深さがあります。
HSPの人は、そうでない人と比べて、大量の刺激を処理します。
そしてその入ってきた情報を自分の納得するまで整理する傾向があり、そのことをいいます。
O (Overarousal)
HSPに人にはOverarousal、つまり神経の高ぶりやすさがあります。
好きなことに対しては気分がより高揚し、嫌なことに対してはより落ち込む傾向があります。
E (Emotional intensity)
HSPの人にはEmotional intensity、つまり強い感情反応があります。
HSPの人は感情に対する反応が、そうではい人と比べて大きいです。
すぐ感動したり泣いたりし、そしてまた、強い共感力をもっており、他人の気持ちや考えが分かります。
S (Sensory sensitivity)
HSPの人にはSensory sensitivity、つまり感度のするどさがあります。
ささいな刺激やちょっとした違いにとても敏感です。
HSPではない人と同じものを見ていても、そこからより多くの情報を読み取ってしまう傾向があります。
HSPには以上の4つの特徴があり、これらの4つの特徴はバラバラなものではなく、常に連動して働いているそうです。
HSPの方は、この4つの特徴が自分にどのように働いているのかを観察すると、自分のことをよく知ることができると思います。
HSPは病気ではなく気質である
ここまで、HSPの特徴や特色について表面的に説明してきました。
もっと詳しく知りたい、という方は、みさきじゅりさんや、エイレン・アーロン博士の本を読んでみたり、ネットで調べてみたりしてはいかがでしょうか。
ところで、私も自分はHSPと自認しており、そして、これはHSPという言葉を知る前の話になるのですが、このHSPの症状を現在通っている精神科の先生に話したことろ、「自閉症でそういう症状がある」というようなことを言われました。
ちなみに私は発達障害(自閉症も発達障害の中に含む)であり、そのことで定期的に精神科に通っています。
そしてHSPという言葉を知ってから、「私はHSPであると思う」とその先生に言ったところ、どうやらその先生はHSPという言葉を知らなかったようです。
そこで、じゃあ私はHSPなのだろうか、それとも発達障害にもそういう症状があるのだろうか、それとも両方なのだろうか、などとちょっと悩みました。
先にも書いた通り、HSPは、病気や障害ではなく、気質とされています。
なので、もし、「自分にはどこか精神的におかしなところがあるような気がするけれども、それがHSPによるものなのか、それとも病気や障害によるものなのか分からない」という方は、一度受診されてみて、自分の違和感の原因が一体どこにあるのかを調べてみるのもいいかもしれません。

HSPと仕事
HSPとは、感受性が物凄く敏感であり、ささいなことにも気が付いてしまう気質です。
したがって、仕事をしていく上ではオフィス内のざわつきなどが気になって、仕事中は普通の人以上にストレスを抱えてしまう可能性があります。
そのため、HSPの方が仕事を選ぶ上では、一人で仕事の出来るフリーランスがよいのではないかと思います。
……と、言いたいところですが、フリーランスとしてやっていくのは、なかなか難易度の高いことであると思いますので、フリーランスのみにこだわるのは、あまりよくないかもしれません。
それに、働くということは、必ずしもオフィスに常駐することではなく、様々な働き方がありますしね。
みさきじゅりさんは、HSP専門キャリアコンサルタントをしていますが、HSPの方は様々な職種の職に就いており、HSPの方に向いている職は「これである」とは一概に決められないと言っております。
なので、自分はHSPだけれども、どんな職が向いているのか分からないという方は、HSP専門キャリアコンサルタントを受けてみるのも一つの手かもしれません。
勿論HSP専門キャリアコンサルタントではなくとも、ハローワークや転職エージェントなどの適職診断テストでも、役立つことがあるそうです。
また、みさきじゅりさんの言うHSPの方が仕事を探す上でのポイントは、
・環境
・適性
・人間関係
・ペース
だそうです。
また、HSPと仕事に関連した話で印象に残っていたのは、HSPの人は、初めは仕事の飲み込みが遅いですが、その仕事についての理解度が上がると、一気に力を発揮するという話でした。
きっと最初は「この仕事をする意味は、目的は?」といった感じで、非HSPの方からすると余計に感じるようなことを考えて、生産性が落ちてしまうのでしょうが、自分の中で点と点が繋がることによって、一気にブレイクスルーするのでしょう。
なので、HSPの方は、自分に合った環境に長く居ることが出来ることによって、力を発揮できるタイプなのかもしれません。
その自分に合った環境を探すのが大変であるとは思いますが……。
様々な角度から、様々な可能性を探っていきましょう。
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関連動画
こちらは、私が初めてHSPという気質を知るきっかけとなった動画です。