【うつ病社会の】ガラパゴス化した国の悲劇【構造】

精神

日本人は精神分裂病的である

岸田秀は『ものぐさ精神分析』(中公文庫)の中で日本人は精神分裂病的であると述べている。

では、日本人がなぜ精神分裂病的になってしまったかの過程を説明する。

なお、この本を最後に読んだのは結構前であり、これから書く文はその記憶を引き出して書いたものであるため、認識にズレが生じている可能性も高い。
したがって、気になる方はこの本を一読することをおすすめする。
面白いし、何か新しい発見があるかもしれません。

まず、日本人が精神分裂病的になった原因は黒船の来航にあるようである。

黒船が来航するまでの日本の状況はというと、鎖国していた上に、鎖国以前も大して外交をしていなかった状態であった。
そのため、日本人の心は日本が島国であるという事実が手伝うこともあり、その頃の日本人の精神は子供のままであった。

しかし、黒船が来航することにより、日本は強制的に外交をせざるをえなくなった。
それは言うなれば、精神的に子供であるにもかかわらず、大人としての役割を強制されたようなものである。

そのため黒船来航以降、日本人の心理は徐々に精神分裂病的になっていったのである。

そして岸田秀の説を信じるのならば、日本人は自分のアイデンティティを取り戻すためにアメリカに戦争を挑んだのである。
日本人は、戦前まではアメリカの言うことを聞くことにより、外的自己と内的自己が不一致な行動を取らざるをえなかった。
和魂洋才という言葉があるが、その言葉は日本人が精神分裂病的である象徴とも言える言葉であると思う。
なぜならば心は日本人であるにもかかわらず、外面は西洋文化を真似ている状態なのであるからである。
精神が分裂していなければ、和魂和才でいくのではないだろうか。

そしてある時その押さえつけられていた内的自己が爆発し、アメリカに無謀な戦争を挑んだことになるのである。
勿論これは、日本人の心理的側面のみを見たものであり、それ以外の事情は度外視した第二次世界大戦が起こった理由である。
そのため、完全に正しいということはできないであろう。
しかし、戦争を起こす原因の一端を担っているだろうとは思われる。

そして、当然のことながら日本は敗戦した。
その結果、自分のアイデンティティを取り戻すことはできなかった。

ここまでが岸田秀の日本人は精神分裂病的であり、そしてなぜそうなってしまったかの説である。

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日本型うつ病社会

無規範状態で遂げた経済成長

ここからは加藤諦三の『「日本型うつ病社会」の構造』(PHP文庫)を元に、「日本型うつ病社会」について説明する。

まず、日本は価値観を失った状態で発展を遂げたため、お金が最も重要な価値観となってしまった。
また、精神的なものを無視して発展したからこそ、お金こそが唯一の価値観となってしまった。
お金こそが唯一の価値観となり、倫理観が失われてしまったようである。

 第二次世界大戦後の日本は、一時、無規範状態に陥った。この価値観の混乱状態のもと、人類が体験した中で最高の経済成長を成し遂げた。その結果として、物質的価値が尊ばれた。
 もし、他の諸価値が社会の中できちんと定着している状況下での経済成長であれば、こうはならなかったであろう。無規範状態の中で異常ともいえるような経済成長をすれば、物質的価値が異常に重んじられるのは当然である。

加藤諦三『「日本型うつ病社会」の構造』、PHP文庫、2010年、82頁

また、経済的に発展はしたものの、その発展は「失ったもの」つまりアイデンティティを取り戻すための執着性格的な発展であるため、いくら経済的に発展しても、心理的に安定することはなかった。
なぜならば経済的に発展することと、心理的に安定するということは、本来関係のないことであると考えられるからである。
しかし、心理的に不安定な人は、社会的に成功することによって、自分の心理的に不安定な状態を解決しようとする。
しかし実際には、社会的成功と、心理的な安定感は無関係であるため、いくら社会的に成功したとしても、心理的な不安定感は消えないであろう。
心理的に欠けているものを社会的成功で満たそうとする欲求のことを復讐的成功心と言っていたように思う。
その復讐的成功心を満たそうとする動きが、国レベルで起こっていたのである。
事実、高度経済成長時にもうつ病者は出ている。

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共同体化していた企業

また、高度経済成長時は家庭は機能重視をした組織となり、会社こそが家族のような組織と化していた。
つまり、家庭とは、子供をよい大学へと排出するための機関となってしまった。
それに対して会社は、年功序列や終身雇用があった頃は、社員一同家族のような繋がりがあった。

 うつ病者を生み出しやすい家族の特徴を説明するのは、スペースの都合で他の本に譲るしかないが、簡単にいえば、次のようになる。
 精神医学者のフロム・ライヒマンによると、「社会的体面重視と社会的競争心の督励」である。簡単にいえば見栄を張っているということである。うつ病者を生み出す家庭は、「経済的レベルや他の権威を得ることによって社会的地位を向上させるために大変な努力をしている」。そして「この目的を達成するために子供は高い基準を課せられる」。

同著、83-84頁

 個は日本的経営というような共同体の中で確立される。家族が機能集団化していても、会社が共同体化していたから日本人は救われていた。
 労働者派遣法は、共同体化していた日本企業を破壊した。そして派遣等々雇用形態の変化に伴い、会社が社員に与えていた帰属意識が失われた。
 この間になされた経済政策で個が確立したのではなく、個が破壊されたのである。

同著、123頁

 日本人の心理的健康をかろうじて保ってきたのは、年功序列と終身雇用と、最後には機能集団であるはずの企業の共同体化である。……企業の共同体化は企業内組合としても現れていた。
 年功序列と終身雇用が妬みやすい日本人の集団的健康を守ってきた。そして満たされない幼児的願望を満たしていたのが、機能集団であるはずの企業の共同体化である。

同著、132頁

しかし、その年功序列や終身雇用も崩壊してしまった。
それにより、日本人の心理的な拠り所はますますなくなったのである。

日本人は変化を嫌う民族

加藤諦三によると、日本人は変化を嫌う民族であるらしい。
それに対してアメリカ人は、変化に対してそれ程抵抗感を覚える民族ではないらしい。
むしろ、変化を好む傾向もあるようである。

そのため、日本人は同じ会社に長い間勤める傾向があるようである。
そしてその日本人的な傾向と、年功序列や終身雇用が上手く合致したのである。
しかしそれらの制度が崩れてしまった今、日本人は会社にも帰属意識を感じなくなったのは、先に挙げた通りである。
そしてそれと共に、時代の変化に合わせて常に生き方も変えていかなければならないようになった。
しかし、変化を嫌う日本人は、そういった時代に突入することによってますます鬱が増えていった。

日本人とアメリカ人の性格は違う。
変化に対する捉え方は正反対ということができるだろう。
そのため、アメリカのやり方をモデルにした経済政策を日本で行ったとしても、上手く行かずに、いよいようつ病患者を増やしてしまうだけであると考えられる。
したがって、日本での経済政策を考える上では、ただアメリカのモデルをそのまま輸入するのではなく、アメリカのモデルを参考にしつつ、日本人の民族性を考えた上でどのような政策を取るべきかを考えるべきである。
とはいえ、そもそも加藤諦三によると、日本の経済成長はもう頭打ちになってしまっており、それを打破する妙案も特には無いようである。

では、どうすればよいか

政策レベルでどうすればよいか

では、どうすればよいか。
加藤諦三の提言はこうである。
まず、経済成長は「良いこと」であるという価値観を捨てた政策を行うべきであるというものである。
経済成長を目指したとしても、既に日本経済は頭打ちであるため、ますます日本人の心の病が増加するだけである。
したがって、まずは経済成長を「良いこと」とする価値観を捨てて、日本人の心の安定に重きを置いた政策をすべきということである。

そうすると国力は下がるであろう。

しかし、それこそが今の日本の実力なのだから仕方がない。
まずは「錦を着て憂える人」ではなく「水を飲みて笑う人」を増やす社会を目指すべきであるということである。
そして、日本人が心理的に安定してきた後にまた経済成長を目指せばよいというものである。

そして、私もその方向性には賛成である。
とはいっても、お金がなければ生活ができない等の問題もあるとは思うが、基本的には賛成である。
しかし、私は大して政治のトピックスを細かく知っているわけではないが、まだ日本人は経済成長を「良いこと」とする価値観を捨てられてはいないような気がする。
この本が刊行されたのは2003年であり、2010年に文庫化されているが、2019年現在、ネットや現実を見ても、まだ経済成長を「良いこと」とする価値観が多数を占めているように思う。
人々が安部首相の経済政策の是非を論じるところをたまに目にする。

個人レベルでどうすればよいか

また、政治的に「こうすること」が理想であるということが分かっていたとしても、自分が政治家になるにしろ、自分の思想と近い政治家を支持するにしろ、世の中が変わるのには時間がかかるであろう。
したがって、まず日本はうつ病社会であるということを認識した上で、ではどうすればよいかを個人レベルで考えることが、今のわれわれにできることであると思われる。
ここでもし、私が「こうやってうつを抜け出すことができた」という生き方のモデルをもっていればそれを紹介することができるのであるが、残念ながら今の私にも紹介できる生き方のモデルはない。

したがって個人レベルで出来ることといえば、とにかく心の健康を第一に置きながら、それぞれの生き方のモデルを見つけることであると言っておくことにする。

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妖月と申します。こちらのブログでは、主に実体験を元にした、メンタル系の情報発信していきたいと考えております。
趣味で絵を描いています。主にオリジナルメインで描いています。

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