吉濱ツトム『今ひきこもりの君へおくる 踏み出す勇気』レビュー

精神

今回は、吉濱ツトムさんの『今ひきこもりの君へおくる 踏み出す勇気』(KKベストセラーズ、2019年)の感想を書いていこうと思います。

この本は引きこもりから脱却する方法について書かれた本でありますが、引きこもりとなったそもそもの原因は発達障害である可能性が極めて高いという切り口から書かれています。

なぜならば、発達障害とは、才能に凹凸のある症候群とも言い換えることができ、才能に凹凸のある者は、たとえばAという環境の中では適応し、自分の才能を生かすことができますが、それ以外のBからZまでの環境では不適応となってしまう可能性が極めて高いからです。

したがって、今、引きこもりとなって苦しんでいる方は、自分の適正を知らずに自分に合わない職場環境などを選んでしまい、そこで不適応を起こし、最終的には心が折れて引きこもりとなってしまった可能性が高いということができるでしょう。

そして、私自身も発達障害であるために、そういう状況にあるということができます。

私は引きこもりにはなってはいなかったのですが、とにかく「生きていることが辛くて苦しい」と思える状況が長い間続いてきました。

今年うつを体験したわけでありますが、その原因も、自分の置かれている環境に対して不適応を起こしてしまったからということができるでしょう。

ですが、自分自身も発達障害で苦しんだ経験をもち、独学で発達障害と折り合いをつける術を見出した吉濱さんと出会ったことをきっかけに、私自身も今一度自分の発達障害と向き合ってみたいと思うようになりました。

今ひきこもりの君へおくる踏み出す勇気 [ 吉濱ツトム ]

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この本の概要

この本にはまず、現在(2019年)の引きこもりの社会的背景と、そして引きこもりと発達障害との関係性が書かれています。

そして、吉濱さんは現在「発達障害カウンセラー」として働いているわけですが、そこで引きこもりとなったクライアントを、引きこもりから脱却させることに成功した7つの実例が記されています。

ちなみに、吉濱さんには「発達障害カウンセラー」という肩書が付けられていますが、吉濱さん自身は、自分自身は「よろず屋(なんでも屋)」のつもりであり、困っている人がいれば助けるのが仕事であるという認識をもっているそうです。

そして、吉濱さん自身の発達障害が原因でホームレスとなり、その後引きこもりとなり、その後独学で自身のことを勉強し、立ち直るに至った壮絶な過去が記されています。

次に、引きこもりから脱却するために、発達障害と折り合いをつけるための方法が簡単に書かれています。これは、吉濱さん自身が引きこもりから脱却するときに編み出した方法となります。

以上がこの本の概要となります。

発達障害と折り合いをつけるための方法

そしてこの本に書いてある発達障害と折り合いをつけるための方法は、次のようになります。

自分のトリセツ(メタ認知)

まず一つ目は、「自分のトリセツを作ること」となります。

「自分のトリセツ」とは読んで字のごとく、「自分の取扱説明書」ということになります。

「自分にはこんなところがある、あんなところがある」と、ノートであったり、スマホのメモ帳であったりに書き出してそれを見直していくことで、自分の行動パターンが見えてくることになります。

そしてそんな風に、自分自身の特性を客観的に見ていくことを「メタ認知」といいます。

自分自身をメタ認知することができるからこそ、自分が問題のある行動をしてしまったとき、あるいはしそうになったときに、きちんと対処できるようになるということです。

たとえば私の場合は、「よくネガティブなことを考え込んでしまう」傾向があります。

そんなときは「あ、私は今ネガティブになってるな」と思い、考えることをやめて、今行っている作業に集中するなどをして、その都度軌道修正していっています。

まだ完全には慣れていないですが、ちょっとずつ慣らしていこうと思います。

それ以外にも自分自身には様々な行動パターンがあり、そしてそのパターンに対する全ての対処法はまだ思いついていないので、これから考えていこうと思っています。

もしも対処法が思いつかなかった場合は、自分の苦手とする状況に投げ込まれることを可能な限り回避できればと思います。

5つの作戦

そして、もう一つ、発達障害と折り合いをつけるための方法としましては、吉濱さんは自身のセッションで、この「5つの作戦」を提唱しているそうです。

これは、吉濱さん自身が、引きこもりから脱却するときに用いた手法となります。
それがこちらとなります。

①代謝に基づいた健康法(糖質制限・栄養療法・有酸素運動)
②環境を変えて行動をうながす(環境圧力)
③行動が変われば心が変わる(行動療法)
④ものごとを中立に受け止める(認知療法)
⑤才能を発揮するための習慣化(ルール化)

ワーキングメモリを鍛える

次に、発達障害と折り合いをつけるために必要なものとしては、「ワーキングメモリを鍛えること」であるということができます。

ワーキングメモリとは、作業記憶とも言い換えることができます。
それは、作業をするときに必要な情報を一時的に記憶して、不要な情報を同時に削除処理する能力のことをいいます。

これは、会話をするときにも必要な能力でありますし、二つ、三つの作業を同時並行的に行うときにも必要な能力であるということができるでしょう。

私も含め、発達障害の人は、この能力があまり付いていないと言われていますので、鍛える必要があります。

ワーキングメモリを鍛える方法は、この本にも書いてありますが、ここでは吉濱さんのYouTube動画からピックアップしてみたいと思います。

ちなみに吉濱さんはYouTubeもやっており、私が吉濱さんを知ったのもYouTubeからとなります。

この動画で紹介されているワーキングメモリのトレーニング方法としましては、たとえば自分の好きなテレビ番組や、ラジオ番組や、YouTubeから、短文を聞き取った後、それを復唱し、その後それを逆唱するというものです。

たとえば「今日は晴れです」という言葉を聞き取った後に、動画を止めて、それを一度復唱してみる。
その後「す・で・れ・は・わ・う・よ・き」といった具合に逆唱してみる。

どうしても上手くできない場合は2文字から始めてもよく、少しずつ文字数を増やしていけばいいとのことです。

私もこのトレーニングを、少しずつやっていっています。

感想

発達障害の人は「内側」が好き

以上が、吉濱さんの、この著書に書かれている、発達障害と折り合いをつける方法となります。

私がこの著書を読んで思ったこと、というか、動画なども含めて吉濱さんの考え方を見て思ったことは、私は心の内面の世界ばかり見ていたんだなということでした。

心の内面の世界ばかりを見ていて、吉濱さんの提唱する「5つの作戦」に見られるような、外側の世界に対する態度がおろそかになっていたんだなと思わされました。

そしてそんな風な、哲学的な世界が好きなところも、発達障害人の特徴の一つであるということも吉濱さんと出会って知りました。

そしてまた、心理学も、取り扱っている物事の範囲は多岐にわたるだろうとは思いますが、私はたとえば「行動療法」のような外側に焦点を当てた範囲よりも、精神世界のような、内側に焦点を当てた範囲のことを熱心に勉強していたところがありました。

その理由は、やはりそういった「内側」を対象にした物事、つまり形而上学的な物事は私にとっては面白かったり、魅力的であったり、神秘的であったりするからです。

形而上学(けいじじょうがく)とは、簡単に説明すれば「形のないものを取り扱った学問」のことをいいます。
その逆の形而下学(けいじかがく)とは、物理学のような「形のあるものを取り扱った学問」のことをいいます。

内側に目を向けると陥る悪循環

けれどもそれこそが発達障害人の陥る罠であるということができるでしょう。

なぜならば、そんな風に心の内側ばかりを見ていると、どうしてもネガティブになってしまう時間が長くなってしまうと思われるからです。

そしてそれによりさらにネガティブになってしまうという悪循環に陥る可能性が極めて高いだろうと思われるからです。

私も、自分の人生が上手くいかない原因は、自分の中に何かトラウマがあり、それが足を引っ張っているからだと捉え、精神世界の中をいつまでも旅していた時期がありました。

けれども結局何も変わることはなく、余計にネガティブになってしまっていたかもしれません。

そしてそうなってしまった理由としては、やはり自分の発達障害に向き合わずに、外側の生活を整えることをおろそかにしていたからだと思います。

発達障害に関する本は、吉濱さんに出会うまでは一冊しか読んだことがなく、そしてその内容も、形而下学的であまり面白みを感じられず、後は病院任せにしていたところがありました。

けれども私に必要だったのは、とりもなおさず外側の生活を整えるということだったのだと思います。

吉濱さんのセッションも、「心が行動を決めるのではなく、行動や環境が心を変えていくという行動療法に基づく手法」で行われています。

しかし、心理療法が全く必要ないというわけでもなく、世の中には心理療法を必要としている方も沢山おられることでしょう。

けれども私の場合は、まずは、外側の生活態度を改めることが今、最も必要なことであると思いますので、まずはそこから始めてみようと思いました。

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